ヤギ山通信 その244 学校の話①

2020年に、大沼の小学校と中学校が統合になることが決まった。
その告知を受けたのは、胆振東部地震の後、すぐのことだった。
大沼には、小さな小学校が3つと中学校が一つある。
そのうちの2校の小学校が耐震で引っかかっていた。
更に少子化で、学校の規模が縮小する中、合併の声は
何年も前から聞こえてきてはいたが、地元の反対の声が多くあり、
合併はまだ先の事だと誰もがたかをくくっていた。

・・が、、、突然、、
合併もしくは統合になる話が新聞に・・
強行突破とはこういうことなんだなと、思ってしまった。
揺れに揺れる地元の足元は更に掬われ、
教育長さんからの説明会があった時にはすでに、
「9年生の義務教育校を作ります!!」と、何歩も
先に進んだ説明がなされ、
「渡島初です!!」・・ともはややる気マンマン。
いまさら反対も何もなく、もう決まったこととして受け止めるしかなかった私たち。

(かまど用の薪を積んでくれています)
子どもたちの通っていた軍川小学校は全校生徒18名。
小さくて、温かくて、ふるさとのにおいがプンプンする、いい学校。
「教育」や「学校」に関しては、思うところは沢山あるけど、
この小さな学校だったら、子どもたちはのびのび育つだろうなあと、
家庭でやることだけ考えていれば、親としては満足だった。
だから、この統合は、今まで安心してた土台がひっくり返されちゃった感じで、
わがやにとっては大きな出来事として受け止めることに・・。
ちょっと長くなるけど、少し学校についてまとめたくて、
今ある現状と、感じたことを書いてみますね。

10月から地元の中学校を休んで、七飯のフリースクールに
通い始めたユウサク。
ユウサクがその選択をした時には、まだ統合の話はなかった。
彼は本当に楽しそうに通っている。
片道5キロの道を走っていき、途中から同じフリースクールに先生として
通っている人の車に乗せてもらっている。

(準備体操中)
恐ろしく重い教科書の入ったリュックを背負って通っていた中学校。
制服を脱いで、小さなリュックに数冊の教科書とノートを入れて、
颯爽と走っていく姿は、清々しくて、なんかかわいい(笑)。

小1~中2まで、全部で9人の小さな小さな学校。
カリキュラムは、学年幅をざっくりまとめてその教科ごとにクラス分け。
英語に力を入れているので、宿題は英語が少し出るだけ。
テストもない。
なんといっても美味しいのが給食。
毎日手作りの給食をみんなで食べ、週1回は家庭科の授業でみんなで作る。
(※現在地元の中学に籍を置き、、フリースクールに通う子は
出席扱いにするようにと文科省からの通達があったため、
ちゃんと出席扱いになる。今までならなかったというから、
だいぶ寛容になってきたようだけど、まだまだ認知度は低い)

2回ほど体験・見学を私もしたけど、すぐに思い出したのが
新得共働学舎だった。
年齢も、人格もさまざまな人が集い、共に働き、
共に認め合い、共働生活をする場所。
大人も子どもも、人懐っこい。
まるで学舎のような雰囲気に、
その輪の中に一歩入ってホッとしてしまったのは私だけじゃなかった。
一緒に行ったケイスケも、もちろんユウサクも。
(ユウサクは夏休みに1週間、学舎体験をしてきてました)

「給食が美味しんだよ!あとね、誰もゲームの話しないの、全く!」
「中学校ではゲームかテレビの話しかなかったのに」
「今日はね、あの子が絡み付いてきたから、おんぶしてあげたんだ」
「今日の帰りの会が面白くてさ、あの子がこんな議題を振ってきてさ・・」
出てくるのは、勉強の話じゃなくて、それ以外の話がほとんど。
クリスチャンスクールなので、聖書を読む時間もあったり、
賛美歌を歌う時間もあり、今までとは少し違うけど、
まるで昨日まで居たかのように、すっとその場になじんだようだった。

今の教育の足りないものは、何となく感じていたけど、
細かいことは言ったらキリがないし、
ただの不満でしかないかもしれないけど、
日本の教育で、足りないと思うものを一つだけ挙げてと言われたら、
人としての「情」だと思う。
情緒とか、感情とか、そういう、心の成長。

そんなもの、教えてもらうもんでもないのかもしれない。
感じて、見て学ぶものなのかもしれない。
だとしたら、学べる大人の社会が子どもたちの周りにあるかな。
教育よりも、テストや部活よりも、常に置いてきぼりがちになる「情」の部分を、
ないがしろにしないようにしていくにはどうしたらいいんだろう。
極論は、前者をなくして後者を取るしかないのかもしれない・・
学校に行かなくても、活き活きと育つ子どもたちを何人か知っているけど、
でも、それでも「学校のようなところ」で学びたい子もいる。
ユウサクを通して、やっぱり色々と考えることがあった夏休み明け。
そして、この統合問題。
一括りにはできない大きなこの学校問題・・
今まさに、突きつけられています。
でも、いいチャンスももらってます。

新しく変われるかもしれない。
色んなことが動くかもしれない。
私たちの周囲でも、ザワザワとしています、親たちが。
子どもの事とか教育の事とか、
集まってはそんな話をよくしています。真剣に。
今までなんでちゃんと調べたり、行動に移さなかったんだろう・・
と反省から始まり、不満をぶつけ、少しでもいい方向に動くことを
考えて行動する。

なんでもそうですよね。
この大きな動きは、しばらく落ち着かないと思いますが、
日々成長する子どもたちを置いてきぼりにさせないように、
出来ること、どんどんやってみます!!
また何かありましたら、ここで報告しますね。