ヤギ山通信 その89 「牛と暮らした」No.3 牛を飼うということ

初夏の放牧とウォッシュ 010_R
20年近くも牛飼いの仕事をしていたのに、私は「牛を飼う」ということがどういうことなのか全くわかっていなかった。
輸入穀物は与えない、飼料は道産もしくは国産にこだわっていこうとは始めから決めていた。
乾牧草は隣町の農家まで手伝いに行き、分けてもらっていたので、
採草地があまりないわが家でもまなかえた。
当初仔牛3頭からスタートした山田農場。
牛が大きくなるにつれて当たり前のことが目の前に大きな問題となってぶら下がった。

米倉さんとキノコとカボチャ 022_R
「牛は食うし、する」
限られた面積の野芝草地、短い草では牛はいつもお腹をすかせ、
痩せていってしまう。
それにたった3頭の牛でも、その堆肥を消化するだけの土地がない。
あっという間に循環が滞っていることに気が付いてしまった。
それでも山羊を見ているとコロコロと太っている。
うちの山でも山羊にとってはあまり負担がないようだった。
そして山羊だけではあまり堆肥は溜まらない。
食べた分だけするんだろうけど、山羊はとっても効率がいいように見える。

2012秋 020_R
くず大豆や玄米(道産)を煮て与えても、牛はやはり繁殖に影響が出てしまう。
発情が来ない。
そして種付けの時期によっては真冬にチーズ作りをしなくてはならない。
少量のミルクでエネルギーばかり費やして、
チーズを作る事が理にかなっているのかもわからなくなってしまった。

そして大きい出来事が起きる。
2011年の東北関東大震災、福島原発の事故。
今までの価値観が根底から揺るがされた出来事だった。
もっと自然の声を聞きたいと思った。
自然のサイクルにできるだけ寄り添った暮らしをしたい。
チーズ作りもその暮らしの一つであるように・・
そう思ったら、この山や土地の味を最大限引き出してくれる動物は、
山羊やヒツジだと確信した。

2012秋 040_R
その後も悩みながら進むうちに出会った人々、
起こる様々な事柄・・
ある時から川の様な流れを感じた。
あ、あの時と同じだ。
この土地に出会い、開拓を始めた頃のあの感覚。
運命なのか必然なのかわからない流れに引き寄せられ、
その波に身を任せてみた。
迷っているときには見えなかったものが見え、
同じような感覚を持つ人たちとの貴重な出会いが沢山あった。

離れると決めたから、見えたり出会ったりしたのだろうと今は思う。
そして明日、私は牛と離れる。


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山田農場について

Author:山田農場
2006年から農場を開墾し、畜舎・住宅・チーズ工房などを自分たちで建てて、2008年からチーズの販売を始めました。山羊・ヒツジを放牧と地元で獲れる作物で育て、なるべく自然な飼い方で、なるべく自然なチーズ作りをしています。季節を感じ、土地の個性を感じるチーズを楽しんでいただけたら嬉しいです。また、自給自足が目標で、お金のかからない、できるだけエネルギーを使わない暮らしを目指しています。
カテゴリーにあるお店の紹介にはアクセス・営業時間など、チーズの紹介にはチーズの種類と価格など、ヤギ山通信には農場の日記を載せていますので、ご覧いただき、お問い合わせは電話・Fax・メールでお願い致します。

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